「上肢」と「体幹」を繋ぐ「二の腕」の骨で、「肩関節」や「肘関節」の構成要素となる【上腕骨】骨解剖学(解剖学構造)をイラスト図解を使ってわかりやすく解説しています。
【上腕骨】とは?どこにあるどんな骨?
【上腕骨】は、いわゆる「二の腕」部分で、力こぶの筋肉(上腕二頭筋)がついている骨です。
【上腕骨】は、「体幹(胴体)」と「上肢(腕〜手)」を繋いでいて、上肢骨の中では一番大きく長い骨です。
【上腕骨】解剖学構造
【上腕骨】は、長い骨幹と特徴的な両端を持つ上肢最長の長骨で、上端は「肩関節」下端は「肘関節」の構成要素になり、上肢(肩・肘・手)の動きに作用する複数の「筋肉(骨格筋)」が付着しています。
構造 | 特徴 |
---|---|
上端部 | 肩関節の構成要素 |
下端部 | 肘関節の構成要素 |
骨幹部 | 上肢骨の中では一番大きく長い |
【上腕骨】上端部
【上腕骨】上端部は「肩甲骨」と関節面を作る半球状の骨頭が特徴で、この「上腕骨骨頭」を中心に2つの結節と頸部があります。
名称 | 詳細 | 特徴(関節や筋肉など) |
---|---|---|
上腕骨骨頭 | 不規則な半球状 | 肩甲骨と「肩関節」を構成 |
解剖頸 | 「上腕骨骨頭」と「結節」の間 | |
外科頸 | 「結節」と「骨幹部」の間 | |
大結節 | 「上腕骨骨頭」外側 | 「棘上筋」 「棘下筋」 付着部 |
小結節 | 「上腕骨骨頭」前部下 | 触診しやすい出っ張り |
結節間溝 | 「大結節」と「小結節」の間の溝 |
【上腕骨】下端部
【上腕骨】下端部は、「橈骨」および「尺骨」と「肘関節」を作るための不規則な凹凸構造が特徴で、3つの大きな凹構造(窩)と4つの大きな凸構造があります。
名称 | 詳細 | 特徴(関節や筋肉など) |
---|---|---|
橈骨窩 | 上腕骨前面外側(上腕骨小頭) | 橈骨橈骨頭(凸)と関節を作る |
鈎突窩 | 上腕骨前面内側(上腕骨滑車直上) | 尺骨(凸)鈎状突起と関節を作る |
肘頭窩 | 上腕骨後面(上腕骨滑直車上) | 尺骨肘頭(凸)と関節を作る |
内側上顆 | 上腕骨内側の凸部 | 前腕屈筋群の起始部 |
外側上顆 | 上腕骨外側の凸部 | 前腕伸筋群の起始部 |
上腕骨滑車 | 尺骨滑車切痕(凹)と関節面を作る | |
上腕骨小頭 | 橈骨頭(凹)と関節面を作る |
【上腕骨】骨幹部
【上腕骨】骨幹部は細長い構造で、「三角筋」が付着するふくらみのある部分(三角筋粗面)や橈骨神経が走行する神経溝があります。
名称 | 詳細 | 特徴(関節や筋肉など) |
---|---|---|
三角筋粗面 | 外側のふくらみ | 三角筋停止部 |
橈骨神経溝 | 背面中心部分の溝 | 橈骨神経が通る |
【上腕骨】が含まれる関節
「上腕骨」の上端は「肩甲骨」と「肩関節」を構成し、下端は「前腕骨(橈骨と尺骨)」と肘関節を構成します。
肩関節(関節窩上腕関節) | 肘関節 | |
---|---|---|
要素 | 「上腕骨骨頭」と「肩甲骨関節窩」の関節 | 「上腕骨」「尺骨」「橈骨」がそれぞれ関節を構成 |
構造 | 「球関節」 | 「車軸関節」または「蝶番関節」 |
運動方向 | ほぼ全方向 | 「屈曲⇄伸展」 「前腕部:回内⇄回外」 |
実際には、「肩関節」も「肘関節」も複数の関節の複合体として機能しています。
【上腕骨】に付着する筋肉
「上腕骨」には、「肩関節」「肘関節」「手や指の運動」に関与する筋肉が複数付着しています。
筋肉名 | 上腕骨付着部位 | 起始停止 |
---|---|---|
肩甲下筋(ローテーターカフ) | 小結節 | 停止 |
棘上筋(ローテーターカフ) | 大結節 | 停止 |
棘下筋(ローテーターカフ) | 大結節 | 停止 |
小円筋(ローテーターカフ) | 大結節 外側縁上部 | 停止 |
大胸筋 | 前縁上部 | 停止 |
上腕三頭筋 | 後面 | 起始 |
腕橈骨筋 | 外側下部 | 起始 |
大円筋 | 小結節 | 停止 |
烏口腕筋 | 内側 | 停止 |
上腕筋 | 前面 | 起始 |
前腕伸筋群 | 外側上顆 | 起始 |
前腕屈筋筋群 | 内側上顆 | 起始 |
広背筋 | 下角 | 起始 |